通貨オプション取引が急増、政治ニュース引き金-25年の相場を暗示か
通貨オプション市場は6日、静かなスタートとなったが、政治関連ニュースを受けて状況は一変し、取引規模が約2カ月ぶりの高水準に膨らんだ。今年起こりえることを暗示しているかのようだ。
米証券保管振替機構(DTCC)のデータによれば、同日の取引高は1080億ドル(約17兆円)に到達。昨年12月に日米金融当局が金融政策を発表した両日を上回った。カナダのトルドー首相の辞意表明や米国の関税に関する報道が取引急増の要因となった。
ノムラ・インターナショナルによると6日は、ユーロの対ドルでのパリティー(等価)を見込んだポジションの投げ売りも見られた。
バークレイズは、米ドル上昇で利益を得られる米ドル・カナダドルのバニラオプションやデジタルオプションを一部投資家が縮小したと指摘している。また人民元も注目されており、スタンダードチャータードによれば一部トレーダーが米ドル下落を機に米ドル・人民元のコールオプションを購入した。
米国経済の強さとトランプ次期大統領の関税を巡る脅しを受けた米ドル需要の高まりから、米ドル上昇を見込んだヘッジファンドのポジションは、約6年ぶりの高水準まで積み上がっている。そうしたポジションの偏りを受け、市場が急反転した際に損失が拡大するリスクが高まっている。
6日は関税の脅威にさらされている国・地域の通貨に対する米ドル・ロングのオプションを、短期筋が巻き戻す動きが見られた。トランプ氏の側近らが関税の範囲を重要輸入品のみに限定することを検討していると、米紙ワシントン・ポスト(WP)が報じたことが材料視された。その後、トランプ氏は報道を否定した。
ノムラのシニア外国為替オプショントレーダー、サーガル・サンブラニ氏(ロンドン在勤)は「外国為替市場での関税を巡るヘッドラインにけん引された値動きは、向こう4年間の米政権下で起こりえることを垣間見る機会となった」と語った。